2017年3月31日

 

 

 

 

 

 

 

 

仮想通貨技術「ブロックチェーン」による電子カルテの実用化

 

 

 

 

 

 

 

 

ピアツーピア(P2P)型の分散ネットワークインフラストラクチャが100年の医療システムを構築する

 

 

 

 

 

 

 おはようございます。

 

 本日から「ブロックチェーン」技術に関しての記事と考察を始めたいと思います。

 

 実は「ヘルステック」や遠隔医療を進めるためには、この「ブロックチェーン」は不可欠で、特に電子カルテなどの個人情報への厳格なセキュリティが必要な、「ヘルステック」の核といえる部分で使われるものです。

 

 遠隔医療の核といわれる部分は画像診断と電子カルテです。画像診断などビッグデータにかかわる部分ではAI=ディープラーニング技術が今後、企業の差別化には不可欠になりますが、遠隔医療はドクター・トゥ・ドクターといわれる「診療所と中核医療施設」の間の医師間でスムーズに取り交わされる情報交換の「自由化」といえます。

 

 そのさい「暗号化/匿名化/電子署名によるセキュリティ機能」を実装し、「電子保存の原則」を担保できる技術が必要です。それが「ブロックチェーン」です。

 

 じつはブロックチェーンは「暗号通過」技術のことで、巷で言われる仮想コインの技術です。しかし、ブロックチェーン技術の本質は、取引明細を分散化し、公開しアクセス可能にするものです。ですから、今後、法曹と行政といった個人情報を取り扱った「文書作成」サービスにもっとお威力を発揮するものとして、期待されています。

 

 事実、後半の記事にあるように、エストニアではブロックチェーン技術を用いた医療データ管理に乗り出しています。この事実は経産省が注目しているようです。

 

 以前にも、ベルギーの行政サービスにブロックチェーン技術採用の記事を掲載したことがありますが、こうした動きが行政と医療に適用しようという動きが世界的に本格化し始めています。

 

ベルギーの行政サービスに「フィンテック」技術を採用実施(2017年3月6日)

http://www.noteware.com/bel.html

 

 世界的に行政が新しい「テック」の導入に本格的に乗り出している情勢を、関係企業や団体、施設は逐一注視して、今後の特に3年内の動き(東京オリンピックがやはり世界的に技術やインフラのターニングポイントと考えられています)を追っていく必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医療分野にも広がる仮想通貨の技術「ブロックチェーン」とは 

 

 

 

 

 

 

 

ビットコインのような「仮想通貨」の根幹技術であるブロックチェーンを、医療やライフサイエンスの分野に応用しようという動きが世界で起きている。

 

 

 

 

 

 

 

MONOist

笹原英司

2015年12月02日

 

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1512/02/news014.html

 

 

 

 

 

ブロックチェーンとは何か

 

 金融×IT(FinTech)の分野で話題になっているビットコインは、法定通貨とは異なる単位を有し、インターネットを通じて電子的に取引され、資金移動や物品の購入時の対価の弁済といった決済手段として利用される「仮想通貨」である。このビットコインを支える基盤技術を提供するのが「ブロックチェーン」だ。

 

 図1は、ブロックチェーンのエコシステムの全体イメージを簡単に示したものである。

 

 

 

図1 ブロックチェーンエコシステムの全体イメージ(例)

出典:ヘルスケアクラウド研究会(2015年11月)

 

 

 

 ネットワークのレイヤー(図1の一番下の層)から見ると、ブロックチェーンは、ピアツーピア(P2P)型の分散ネットワークインフラストラクチャより構成される。データストレージも各ノードに分散する形態をとる。

 

 プラットフォームのレイヤー(図1の下から二番目の層)から見ると、強固な暗号化/電子署名、コンセンサスメカニズム(ノード間での合意形成)、分散型元帳などを特徴としている。

 

 アプリケーションサービスのレイヤー(図1の一番上の層)では、トランザクション、電子記録、リアルタイム処理など、ブロックチェーンならではの特徴を生かしたオープンソースベースのアプリケーションソフトウェアをさまざまな分野向けに開発/実装してサービスを提供できる点が特徴だ。

 

 金融分野向けに特化したサービスの代表例がビットコインであり、今後は、金融以外の分野の付加価値サービスにブロックチェーンが利用されることが期待される

 

 医療分野については後述するが、法務分野の「スマートコントラクト」は、ブロックチェーン上で利用される契約交渉などのためのプロトコルであり、契約行為をプログラム化し、自動的に実行しようとする仕組みである。

 

 

 

電子カルテのチームがFinTechハッカソンで第1位を獲得

 

 2015116~8日、アイルランドのダブリンシティ大学(DCU)イノベーションキャンパスで、「Blockchain Hackathon」が開催された。主催は、アイルランドの暗号通貨/ブロックチェーン専門コンサルティング会社であるChainsmithsで、Fidelity Investments、Deloitte、Citigroupなど、金融グローバル企業が協賛する、金融×IT(FinTech)分野のオープンイノベーションコンテストだ。

 

 

 

図2 アイルランド・ダブリンで開催された「Blockchain Hackathon」

出典:https://blockchain-hackathon.com/

 

 

 約150人の参加者が、50時間内でチームを作り、概念実証を競うコンテストで、第位に輝いたのは「MedVault」というエンジニアチーム。ブロックチェーン技術を電子診療記録(EMR)に応用するというアイデアだった。ブロックチェーン技術があれば、患者から生成されるバイタルデータを時系列に記録し、暗号化/匿名化/電子署名によるセキュリティ機能を実装しながら、真正性、見読性、保存性のいわゆる「電子保存の原則」を担保することが可能なる。

 

 そして、彼らが採用したのは、イスラエル・テルアビブのブロックチェーン関連開発スタートアップ企業Coluが提供するプラットフォームだ。Coluは、ブロックチェーンを介した基本的なトランザクションの上に、メタデータ層を構築して付加価値サービスを提供できる点を強みとしている。Coluは201510月、Deloitte(カナダのトロントで、ブロックチェーンソフトウェアプラットフォーム「Rubix」を構築)との提携を発表するなど、FinTechの注目企業でもある。

 

 金融分野から非金融分野へのブロックチェーン技術の適用拡大は、各地で広がりつつある。例えば、MITメディアラボの「Digital Currency Initiative」では、暗号化、経済、プライバシー、分散システムなど、さまざまな分野の専門家が集まって、ブロックチェーンを利用した新規分野の研究を行っている。名前の通り、デジタル通貨など、金融分野が中心で立ち上がったが、医療、行政などへと広がりつつある

 

 医療分野のユースケースとしては、ブロックチェーンを利用したドナー登録、医薬品のサプライチェーン管理、ウェアラブル機器データの利用に関するユーザー主導のパーミッションなどが検討されている。また、プライバシー保護の分野では、ブロックチェーンを利用した個人データ保護対策(分散型プライバシー)などの研究が進んでいる。参考として、図3に分散型プライバシー保護プラットフォームの概要を示す。

 

 

図3 分散型プライバシー保護プラットフォームの概要

出典:MIT Media Lab「Decentralizing Privacy: Using Blockchain to Protect Personal Data」

 

 

 

 

遺伝子データ研究に応用されるブロックチェーン技術

 

 ブロックチェーン技術は、ライフサイエンスの分野にも応用されている。例えば、アリゾナ州立大学の研究チームは、オープンソースのP2Pのファイル転送用プロトコルおよびその通信を行うソフトウェア「BitTorrent」をプラットフォームとして利用した分散型遺伝子データ公開/研究/アーカイブ用ポータル「BitTorrious」を構築し、201412月、その研究成果が学術専門誌BMC Bioinformaticsに掲載されている。図は、ポータルサイトのダッシュボード画面を示している。

 

 

 

 

図4 分散型遺伝子データポータル「BitTorrious」のダッシュボード画面

出典:Lee PV, Dinu V「BitTorious: global controlled genomics data publication, research and archiving via BitTorrent extensions.」

(BMC Bioinformatics. 2014 Dec 21;15:424. doi: 10.1186/s12859-014-0424-9)

 

 

 

 さらに、同研究チームは、ブロックチェーンをベースとする分散型ストレージをサーバサイドに拡張して、集中管理型データストレージを構築する研究を行っている

 

 

 

ブロックチェーンとクラウド/IoTの連携・ソリューション化

 

 ICTベンダー/サービスプロバイダーも、ブロックチェーン技術を利用した汎用的なソリューション開発に取り組んでいる。例えば、IBMは、ブロックチェーン技術を活用してIoT(モノのインターネット)の課題を解決する「Device Democracy」という概念を提唱してい

 

 IBMによれば、2005年以前はクローズドな集中管理型のIoTネットワークの時代、現在はオープンアクセスのIoTネットワークで集中管理型クラウドの時代、2025年はオープンアクセスのIoTネットワークで分散型クラウドの時代になる」という。ブロックチェーンを利用したP2Pネットワークを採用することによって、膨大な数のIoTのトランザクション(様々な取引のデータ処理)を処理し、大規模の集中管理型データセンターの導入/維持に関わるコストを削減することが可能になるとしている。

 

 

 

 

図5 IBMが提唱する「Device democracy」 

出典:IBM 「Device democracy: Saving the future of the Internet of Things」(2015月)

 

 

 一方、Microsoftは201511日、ブロックチェーン開発環境をクラウドサービス「Microsoft Azure」で提供する「Ethereum Blockchain as a Service(EBaaS)」を発表した。「Ethereum」は、分散型アプリケーション(DApps)やスマートコントラクトを構築するためのオープンソースソフトウェアプロジェクトである。

 

 Microsoftは、Ethereum向けの分散型アプリケーション開発スタートアップ企業ConsenSysと提携し、同社のブロックチェーン環境構築ツールキットを利用して、Microsoft Azure向けにブロックチェーンで利用できる全てのAPIが使用可能な「Blockchain-as-a-Service(BaaS)」を提供する。

 

 今後は、医療分野におけるブロックチェーン利用を可能にするクラウド型のサービスが、ネットワーク、プラットフォーム、アプリケーションの各レイヤーで登場するだろう。IoTやビッグデータなど、医療機器と連携する新技術領域には、ブロックチェーンとの親和性が高いところが多く、イノベーションが期待される。

 

 また、ブロックチェーン向けのプライバシー/セキュリティ関連機能については、テロ/マネーロンダリング対策や利用者保護対策など、法規制の厳しい金融分野における開発/導入が先行しており、その経験やノウハウをどのように横展開させるかが鍵になるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電子国家エストニア、医療データの記録にブロックチェーン利用へ

 

 

 

 

 

ビットコインニュース

2016年3月11日 

http://btcnews.jp/estonia-is-using-blockchian-technology/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

https://guardtime.com/

 

 

 「エストニアでは、もはや婚姻や離婚の届出以外のことはすべてオンラインで出来る。国民はわざわざ公的機関に足を運ぶ必要がないのだ。」

 

 ブロックチェーンを利用したサイバーセキュリティ・ソリューションを開発するGuardtimeが、エストニア政府と提携し、130万人のエストニア国民の生涯の健康・医療データの記録管理にブロックチェーンの利用試験を開始していることが明らかになった。

 

 Guardtimeは、信頼できる第三者機関を経由せずビッグデータのように大規模なデータを検証可能な「キーレス署名インフラストラクチャ」(KSI)を利用した分散型台帳を提供する企業だ。公開鍵暗号方式を採用する従来のアプローチとは異なり、KSIではハッシュによる暗号化を、分散型台帳の維持管理にのみ利用している。

 

 米国防安全保障協力局の元エキスパートであり、GuardtimeのCTOを務めるマット・ジョンソン氏によれば、センシティブな情報を扱う分野では、ビットコインやイーサリアム(仮想通貨の一つ)などでは難しかったとのこと。とりわけ医療機関で扱うカルテは個人情報の塊であり、情報を厳重に扱う必要があった。こうした理由から、既存のブロックチェーンではデータを直接扱うことはできないGuardtimeが持つKSIではこれを、従来のブロックチェーンと同様に第三者による改ざんや攻撃を防いだまま、政府や医療機関など限られた機関でのみ利用できるようにした

 

 「誰がそれを管理しているか、医師がそれをどのように利用するか。」ジョンソン氏は語る。「そして、病院や他の医療サービス、保険業者。誰もがそのデータに触れ、契約に基づいて扱っている。」

 

 ジョンソン氏は最終的に、ブロックチェーン型の分散型台帳の中に電子カルテだけでなく、政府や自治体、企業、個人のあらゆる情報が記録されるようになると考えているようだ。

 

「本件では監査メカニズムとして医療データを適切に処理するためにブロックチェーンを利用しているが、これは実際には政府や企業、個人が相互に作用する重要なデータを扱うこともできる。」