2017年4月7日

 

 

 

 

 

 

 

ブロックチェーンに関する基礎知識 PartⅠ

 

 

 

 

 

 

電子カルテネットワークとDtoD医療実現に欠かせない技術の簡潔な展望

 

 

 

 

 おはようございます。

 

 これまで様々な情報、世界での動きを追ってきました。一見私たちの業界には関係のないことですが、実際には大きくかかわりのあることです。

 

 しかし、最近はそろそろ医療とAIといった具体的な将来の技術的展望にかかわることを掲載し始めております。その中でも今後より重要になるのが、法的分野とブロックチェーンです。この二つをより深く先取りして、世の中の情勢を理解しておくことが、今後の企業の生き残りに大きく資することになるでしょう。

 

 AIも今後大きな世界的変革が期待されますが、それよりも直接的に大きな影響があるのはブロックチェーンです。この暗号通貨の仕組みは、日本ではまだほとんどの人が理解していません。ほぼ100%理解している人はいないといえるでしょう。当編集部もまだまだこれからという段階です。

 

 しかし、医療改革はその診療報酬制度の改革とともに、その要といえるのが遠隔医療であり、それを構築するのが病院と病院での患者情報の自由なやり取りです。それを実現するのが「電子カルテ」です。

 

 しかしそこには当然、電子情報のやり取りですから、情報セキュリティの厳格化の問題が生じます。個人の通院歴や病歴ですから、その情報は究極の個人情報といえます。

 

 そこに登場したのが、ブロックチェーンなのです。ブロックチェーンは「フィンテック」を実現した技術のかなめであり、通貨というセキュリティの絶対性が要求される分野を見事にクリアした技術です。

 

 この技術をその他の個人情報―学校の成績、行政文書、法律系文書、医療系個人情報に応用する国を挙げての動きが存在します。以前にベルギーで行政文書をブロックチェーン化する動きを紹介したことがあります。

 

(「ベルギーの行政サービスに「フィンテック」技術を採用実施」)

http://www.noteware.com/bel.html

 

 こうした動きを私たちは知っておかなくてはなりません。そしてブロックチェーンの仕組みに関しても、詳しい文章を掲載する予定です。今回からはまずその入り口として、NTT様がわかりやすいブロックチェーンの仕組みをHPにて解説していますので、それを数回に分けてご紹介していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブロックチェーンとは

 

 

 

 

 

NTT DATA

http://www.nttdata.com/jp/ja/services/sp/blockchain/mechanism/

 

 

 

 

 

FinTechで加熱する「ブロックチェーン」

 

 

 ICTや金融業界の最新トレンドのひとつで、金融ビジネスを一変させるともいわれる「FinTech(フィンテック)」。人工知能(AI)やロボット技術など、一見すると金融分野には無関係とも思われる技術を駆使して、先進の金融サービスの提供をめざす取り組みです。

 

 

 これに関連して、オープンな金融サービスを実現する有望な技術の1つとして注目されているのが「ブロックチェーン」です。ビットコインを支える技術として、一躍脚光を浴び、アイデアの革新さに加えて、幅広い用途への応用が可能なことから、ブロックチェーンのもたらすビジネスインパクトに多くの企業が注目。巨額の投資を呼び込み、金融サービスにとどまらず国内外で実証実験などさまざまな動きが活発化しています。

 

 

 

ビットコイン≠ブロックチェーン

 

 

 「ブロックチェーン」は仮想通貨「ビットコイン」の基幹技術として発明された概念です。そのため、「ブロックチェーン」を「ビットコイン」と同じものとして認識されることがありますが、「ブロックチェーン」はあくまで「分散台帳を実現する技術」であり、それをビットコインが使用しているに過ぎません。

インターネットなどオープンなネットワーク上で、高い信頼性が求められる金融取引や重要データのやりとりなどを可能にする「分散型台帳技術」。その中心となるのが「ブロックチェーン」です。

 

 

 

台帳情報の共有で連携するシステムの新たな形

 

 

 情報システムの多くは、業務アプリケーションとデータベースをそれぞれに保有しています。一方のブロックチェーンは分散型台帳技術と呼ばれ、データベースの一部(台帳情報)を共通化して、個々のシステム内に同一の台帳情報を保有するという考え方ができます。つまり、個々のシステムがそれぞれ台帳情報を保有する世界から、台帳情報の共有を前提としてシステムが連携する新しい世界へと変わっていくことを意味します。

 

 

 食品流通を例に挙げると、現状は複数の生産者や製造業者が自前のシステムでデータベース(台帳情報)を管理していますが、いざデータ連携を図ろうとすると、データ形式や管理方法がバラバラで同期の仕方も異なるなど多くの課題が生じます。

 


 それに対して製造履歴などの情報をブロックチェーン上で各社が共有するようになれば、データ連携も容易となり、台帳の更新時に参加者間で合意を取ることで、内容の正当性と一貫性を確保することが可能となります。そして、コストの掛かる第三者機関(仲介役)を立ち上げずに偽装や改ざんを防ぐトレーサビリティー環境を整備することが可能になります。

 

 

 高い透明性や信頼性をインターネット上で確保できることから、多様な用途への応用が期待されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 編集部からのコメントです

 

 ここに重要なことが書かれています。「第三者機関の立ち上げをせず」という部分です。ブロックチェーン技術で作られた「暗号通貨」は、第三者、すなわち銀行の仲介を受けません。送金する際、銀行のATMを介することなく、個人間の手渡しと同じことを電子ネットワーク上で簡単に行えることが画期的なところです。

 

 そうなると中央銀行も介しません。つまり、紙幣も法貨もなくなる、本当の流通貨幣、カレンシーとしての役割を果たすことができます。

 

 ブロックチェーンの暗号通貨は、実際には通貨というより、通帳内容なのです。通帳の取引と残高が公開されていて、暗号の許可を得られた者のみがそれを見て活用できます。つまり、自分自身が銀行なのです。そもそもお金は自分自身の財産であり、自分自身で管理したいものです。それを預金という形で銀行に預けている。しかしそれは、政府や金融庁の監督と監視を受けます。

 

 しかしながら、私有財産は人類固有の権利で不可侵です。自分で管理できるなら、政府や金融当局、中央銀行の介入を受ける必要はあり得ません。本来はあってはならないことです。これが分散台帳という形で実現されたということです。

 

 (ですから、アメリカでは伝統的にFRBやIRS廃止の動き―もともと存在しませんでしたーという根強い思想と運動が絶えずアメリカで最も大きい勢力として存在しています。FRBは連邦準備制度で中央銀行。IRSは内国歳入庁で、国税庁です。ともに第一次大戦直前に抱き合わせで突然設立されたものです。)

 

 当然、同じことが「既往歴」についても言えます。自分の通院歴、病歴は究極の個人情報であり、自分自身であり、その個人情報は私有財産というべきものです。

 

 ですから、それを第三者の仲介なく、直接希望のお医者様に見ていただける。そのセキュリティも完璧であれば、電子カルテの受け渡しを医者間、医者と患者間で何のクッションもなく行えるのは、煩雑な医療手続きが解消され、医療機関も医療行為そのものに集中できるため、その質の向上が期待されているのです。

 

 

 

 

 

 

 

(本文の続き)

 

 

 

 

 

 

台帳情報を、ブロックチェーンを使って共有(イメージ)

 

 

(編集部注記: 図の上の部分が現在の各企業が固有で所有するデータベースと管理システムです。下がそのブロックチェーン化、分散台帳化で、誰もが厳格なセキュリティ上で共有して利用できるシステムです。)

 

 

課題は多いものの、新たな可能性に期待

 

 

 ただし、ブロックチェーンは分散型であるがゆえに、ネットワークを介した各台帳情報の整合性確認に一定の時間を要することから、リアルタイム性が求められる即時決済などの用途には向いていません。またFinTechの波に乗って、既存ネットワークがブロックチェーンに全て置き換わることで低コストでの決済システムが実現するとの見方を示す意見もありますが、適用領域を正しく見極めなければブロックチェーンによる恩恵は受けられないでしょう。

 

 また、技術的にクリアしなければならない課題も多く、多領域で模索が続いているのが現状です。本格なビジネス導入には早くても2~4年程度は要すると現時点(2016年)では考えられます。

 

 数年後、そのような課題がクリアされれば、従来は費用対効果が見込めずにいたシステムを安価に構築することが可能になり、ブロックチェーンによって新たにシステム化される領域は確実に存在することになるでしょう。NTTデータでは、社会インフラを手掛けてきた私たちならではの視点でブロックチェーンを評価し、多くの企業と共同で技術開発を進めていきます。

 

 

 

 

ブロックチェーンにより新たにシステム化される領域への期待

 

 

 

 

 

 

 

 次回は「ブロックチェーンの仕組み」を掲載いたします。