2017年2月2日

 

 

アマゾンエコー―音声ですべての電気製品支配を目指す?

 

 

 

 おはようございます。

 

 今回は「アマゾン・エコー」に関するレポートをご紹介します。アマゾン・エコーとは、オーディオ・スピーカーです。もちろんただのスピーカーなどではなく、インターネットに紐づいたデバイス機器です。Wi-Fiを内蔵した「スマート・スピーカー」といって、一言でいえば、「音声コマンドのIoTスピーカー」といっていいでしょう。

 

 しかし、この試みは、以前に紹介したただのスマホ操作に見えるコーヒーメーカー、ネスレの「バリスタi」と同じです。つまり、ただのスピーカーではない、P2P、PSSを目的とした製品なのです。基本的には音声コマンドオーディオ製品ですが、その本質は、スピーカーとマイクの機能を付けただけで、すべての家電や電化製品に紐づいたIoTのターミナルといっていいと思います。

 

 

 

 P2P、PSSに関しては「ITの最新情報」の「シェア」と「フィンテック」をご覧ください。

金融革命「フィンテック」とは何か

http://www.noteware.com/fintech.html

「シェア」―〈共有〉からビジネスを生み出す新戦略

http://www.noteware.com/share.html

 

 

 

 

 

 

 

 

アマゾンが一人勝ち? 音声操作家電でグーグルやアップルがかなわない理由

 

 

 

 

NIKKEI STYLE 1/21(土) 7:47配信

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170121-00000004-nikkeisty-life&p=1

 

 

Amazon Echo

 

 

 「Amazon Alexa(アマゾン・アレクサ)おそるべし。スマートスピーカーの時代が来た」

 2017日から日、米ラスベガスで開催されたテクノロジー関連展示会「CES」を取材・視察した関係者の意見は、この一言に集約されるだろう。

 スマートスピーカーとは、Wi-Fiを内蔵し、音声コマンドに対応したスピーカーを指す。具体的には米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)が米国やドイツで販売している「Amazon Echo」シリーズや、Google(グーグル)が米国で販売している「Google Home」のことを指す。Alexaとは、Echoで使われている音声技術であり、Amazonはこれを広く他社にライセンス提供している

 この製品の市場が、米国では16年後半、急速にブレークしたのだ。Business Insiderが161228日付の記事で伝えたところによれば、Amazonのスマートスピーカー「Echo」は、16年だけで520万台が販売されたという。Google Homeは1611月から販売を開始したところで数ははっきりしないが、販売は好調であるようだ。北米でビジネスをする家電メーカー側の認識として、「家庭にはスマートスピーカーが普及しつつあり、連携する機能は求められて当然」という状況になってきているのだ。

 

 

 

 

 

 

 編集部からのコメントです。

 

 

 先日、2016年12月に開店したばかりの都内量販店まで家電を見に行きましたが、アマゾン・エコーはありませんでした。IoT家電はまず見当たらず、店はオープン下ばかりで、やる気のある店員さんばかりでしたが、彼らも全く知らないといった状態でした。

 

 アマゾン・エコーはアメリカですでに2016年に520万台を売り上げています。しかし、日本ではその存在すら知られていない。インターネットが何であるかが全く知られていなかった1995年ですら、マニアの間ではウィンドウズ95が盛り上がり、量販店でもかなりの売り上げだったはずです。それから22年たった今、IoTという新しい波は、まだ日本人の間では知られていないという「モノつくりニッポン」「先進技術立国日本」としては、忌まわしき事態だといえないでしょうか。

 

 

 

 

 

(記事の続き)

 

 

■Amazonはスマートスピーカーで「ダッシュ」を決めた

 

 その影響は、CES会場にはっきりと表れていた。そこかしこに、Alexaを使った機器があふれていたのだ。

 もっとも注目を集めていたのは、LGエレクトロニクスが発表した、Alexaに対応した冷蔵庫だ。冷蔵庫についた液晶画面でレシピを見つつ、声でAmazonへの買い物を指示できる。


 これだけでなく、「音声対応」機器を見かけると、そのほとんどにAmazonのロゴがあった。理由は、Amazonが自社のクラウドであるAWSで「Alexaを機器やサービスで使うための機能」を公式に公開していること、Alexaを使った機器を開発するルールを定めていて、Amazonとともに機器を作ることが簡単であることだ。レノボもAlexaを採用した「Lenovo Smart Assistant」を発表している。

 それに比べると、ライバルであるGoogleの動きは鈍い。Google Homeが発売されたのも16年秋のことで、まだ数カ月しかたっていない。ソニーが自社製品とGoogle Homeの連携をアピールした程度である。

 筆者の目から見て、Googleは状況を必死に追いかけており、Amazonは「スマートスピーカー」の市場が出来上がって行く中で見事なスタートダッシュを決めているように思う。

 Googleは、テレビ向けのOSである「Android TV」に、音声機能である「Googleアシスタント」の対応を発表した。現在、Android TVは音声で番組検索が行えるのだが、今後は、チャンネルや外部入力の切り替え、音量調整といったことも音声で行えるようになる。いわば、テレビそのものをスマートスピーカー化できるようになっていくのだ。

 

 

 

 

 

 

 編集部からのコメントです。

 

 会場に音声対応機能の機器が当たり前にあることが、IoT不在の2017年初頭の時点の日本からすると、驚異的な光景です。

 

 何よりこの一文が恐ろしい。「AWSで「Alexaを機器やサービスで使うための機能」を公式に公開していること、Alexaを使った機器を開発するルールを定めていて、Amazonとともに機器を作ることが簡単である」という一文。

 

 自社の製品の機能を無料で公式に公開するという発想は、まず絶対に今の日本ではできないことです。その発想がありません。自社がコストと時間と多大な苦労を掛けた製品と機能を出来れば高く、そしてたくさん売りたいというのがメーカーというもの。

 

 しかし、この自社の昨日やデータを広く公開して使用してもらうというのは、21世紀が20年に差し掛かろうとしている現在、最も進んだ考え方といえます。それはIoTによって紐づけられた機器から、ビッグデータを豊富に得ることができるからです。

 

 またPSSという「使った分だけ」という(機器自体は無料貸し出しが基本となるでしょう)価格システムが、今後の主流であることをこの展示は見越しています。無料で公開して、あらゆる電気機器が自社の製品のエコシステムとなることが、今後の協働エコノミー社会では必須のことなのです。

 

 自社の中にだけで機能やデータを秘密にして抱きかかえている企業は、必ずガラパゴス化して、時代に取り残されてしまうでしょう。

 

 

 

 

 

 

(記事の続き)

 

 

■「部屋のどこからでも対応」できる体験が重要

 

 なぜここまでスマートスピーカーがヒットしたのか? 音声コマンドを受け付け、音声で対応してくれることだけであれば、すでにスマホでもできる。スマートスピーカーでできることは、本質としてスマートフォンの音声コマンド機能と変わらない。判断を下す主体はクラウド側にあり、それを利用しているにすぎないからだ。

 だが、実際に使うと価値がわかってくる。

 とにかく気楽だ。

 スマホでの音声対応は、スマホを持っている状態でないと使いづらい。もちろん大声を出せば離れたところにあってもいいが、それでは便利とは言い難い。

 スマートスピーカーは、マイクをうまく使い、日常的に部屋で人にしゃべりかける程度の音量で話すだけで、きちんと命令が伝わる。しかも、テレビがついているときや音楽がかかっている時でも、少し声を大きくする程度でいい。

 もちろん完璧ではない。一番面倒なのは「コマンドワード」を言わないといけないことだ。命令は、Amazonならは「Alexa」、Googleならば「OK Google」と言ってから伝える必要がある。人間のように柔軟な解釈をしてくれる状態にはないからだ。

 しかし、部屋の中にスマートスピーカーがあれば、情報を得たい時も、音楽を聴きたい時も、照明を消したい時も声をかければいい。スマホから変わったのは、ほんのちょっとした体験の部分なのだが、それが利便性の面では大きな価値を持っていたのである。(編集部注記: この体験の部分の利便性ですが、これはUXのことです。ユーザー・エクスペリアンスのことで、

 そこで、Amazonは製品化で先行し、価格も抑えた。Amazon Echoの最廉価モデルである「Echo Dot」は49.99ドルしかしない。これなら、Echoが便利だと思った人が、家の部屋にそれぞれ置くのも不可能ではない。特に、米国のように広い家が多い地域では有効だろう。

 また、Googleのようなアプローチを取れば、テレビがスマートスピーカーにもなる。

 「スピーカーとマイクのある機器は全てスマートスピーカーとなりうる」

 そう予想する家電メーカー関係者もいた。

 

 

 

 

 

 編集部からのコメントです。

 

 この部分の音声認識の情報はあくまでUX(ユーザー・エクスペリアンス。サービスや製品のユーザーがどれだけエキサイティングで快適な経験をできるのかどうか)という視点で書かれています。

 

 IT業界のみならず、これは今最も望まれているものです。ただの顧客アンケート(CS、カスターマー・サティスファクション、顧客満足度などといって、現状はクレームの発生に貢献するだけの状況ではないでしょうか)ではなく、製品やサービスの提供者が快適便利にそのサービスを受けられるかどうかを考えていることです。その点で、エコーは「とにかく気楽」だということ。

 

 ただ、ちょっと情報不足なのが、この音声認識はAI革命であるディープラーニングによる音声認識であるかどうかです。iPHONEのSiriはそれではありません。あくまでマシン・ラーニングレベルのもので、人間があらかじめ仕込んだ答えを返してくれるのみです。本当のAIによる音声認識は、人間が教えてやらずにAI自身が考えて身に着けていくものではなりません。この記事では、その部分がはっきりしないですね。

 

 

 

 

 

(記事の続き)

 

 

 

■「エコシステム」作りで先行するAmazon、日本上陸はいつ?

 

 Amazonが先行したのは商品化だけではない。

 重要なのは、「スマートスピーカーの上のエコシステム」を先に作り始めていることだ。スマホがアプリの追加で進化するように、スマートスピーカーも「アプリ」の追加で変わる。ショッピングや音楽、クイズにピザの注文まで、各種ネットサービスを「Skill」と呼ばれるアプリにし、スマホアプリからEchoに追加できるようにしたのだ。このSkillの市場は拡大しており、2016年末の段階で、すでに5000を超えるSkillがAmazonのストアに登録されている。アプリエコノミーの構築でiPhoneがAndroidに先行したような状態が、スマートスピーカーの上でも再現されているのだ。

 Amazonがこうした部分で先行しているのは、同社のビジネスモデルに起因する部分が大きい。AmazonはAlexaのライセンス提供では利益を期待していないようだ。同社のクラウドサービスを使ったり、Alexaを経由して同社の音楽配信やショッピングを使ったりしてくれるならそれでいい。Alexaは入り口としての武器になればよく、ビジネス全体での収益はまた違った形で確保できる。だから、他社に比べ投資で先行できる。ライバルにとっては実にやりにくい会社だろう。

 現状、スマートスピーカーは日本語化されていないし、日本向けのサービス展開はない。Googleはアプリの一部を日本語化しており、「遠くないうちに、Google HomeやGoogleアシスタントを日本でも展開するのでは……」と思える要素があるが、Amazonはどうにも動きが見えない。技術的に日本語対応は難しいものではない。ハードルはあるが、不可能というレベルではない、というのが、幾人かの専門家に聞いた見解であった。だが、ビジネス的側面で見れば、おのずと違った見方もできる。

 米国でこれだけヒットしている以上、日本にもスマートスピーカーの波はやってくる。どの企業から、どういう形で入ってくるのか注視が必要だ。そして、そこにどうビジネスを展開するかが、ここから重要な判断になっていくのは間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 編集部からのコメントです。

 

 この記事で最も重要な部分です。「エコシステム:というのは「生態系」

自然の生態系、織の中であるとか海の中の食物連鎖や自然淘汰などを含んだ、さまざまな生物が互いに機能しあって、ある一定のバランスが取れている環境のことです。

 

 同じことをビジネスで行おうというのが、現在のIT業界(この業界がすべてのビジネスの最先端で、社会を変える力を持っているのは、もはや自明のことといえるようになってきました)のトレンドであり、目標であるといえます。

 

 ライセンスや権利といった、自分だけで抱え込んでいる特権(こうしたものは、権利、rightsとはいいがたい)で商売するのでは、今後は取り残され、孤立してビジネスチャンスを失うことが目に見えています。

 

 アマゾンも2014年という最近に、ファイアーというスマートフォンで大失敗した経験がありますが、音声認識システムのAlexaによって、タッチパネルやキーボード操作を顧客にさせるわずらわしさを排除し、すべての家電をIoTに紐づけるという試みはAmazon Goや完全自動運転車に匹敵するイノベーションです。

 

 アマゾンの音声認識ビジネスの動向には、しばらくの間注目していきたいと思います。