2017年5月24日

 

 

 

 

 

 

 

トヨタが本格的に自動運転車開発へ

 

 

 

 

 

トヨタとGPU大手のNVIDIAが提携して自動運転車開発に着手

 

 

 

 

 

 

 

 おはようございます。

 

 

 トヨタは空を飛ぶよりも、自動運転車に本腰を入れ始めたようです。それは当然のことかもしれません。まずは自動運転車です。

 

 

 弊社編集部では、自動運転車はグーグルのウェイモの一人勝ちなのではないかという観測でしたが、ここへきて自動車メーカーの巨人トヨタが重い腰をあげました。

 

 

 これは、トヨタの勝ちというよりも、この記事にもあるように「NVIDIAの勝ち」といったほうがいいでしょう。自動運転車開発は、自動車メーカーではなく、IT企業のほうが主導権を握っています。というのは、IT企業は自社のAI=ディープラーニング技術を提供して、自動車メーカーの実験データを集められるからです。

 

 

 AIやIoTが発達するにつれ、情報が今よりもはるかに価値を持ちます。それはIT企業のほうがAI技術を提供することで、提携企業すべてを「傘下」に置いた「エコシステム」を構築できるからです。この事実を弊社ホームページでは「Amazon Goの衝撃」の中で、ネスレの「バリスタi」の意義を述べる中で明らかにしました。

 

 

「Amazon Goの衝撃」

http://www.noteware.com/Amazon%20Go.html

 

 

 そして、今回の提携が優れていることは、トヨタとGPU大手のNVIDIAだったからではありません。それは二次的な重要性しか帯びていません。

 

 

 重要なのは、記事の後半にある「自動運転車の制御を、ライダーなどのセンサーに頼ることなく、すべてディープラーニングの画像認識のみで行う」という点です。これで本当のレベル4(完全自動運転)が可能になります。おそらくはグーグルのウェイモはこれもすでにクリアしているはずです。

 

 

 ディープラーニングはGPUによって可能になり、それに大きく貢献した企業がNVIDIAです。ですから、その企業が世界3大自動車メーカーのトヨタを自社のエコシステムに(事実上フォルクスワーゲンとともに)組み込み、完全にAIによる自動運転車を開発するということは、2020年までにレベル4が実用化することが、世界の産業の一角である日本も入ることで、現実的になったということです。

 

 

 NVIDIAに関しては、後半の記事に詳しく書かれています。

 

 

 弊社のホームページでの主張は2020年までに新たな技術革新が実用化し、インフラ変更の端緒が開かれ、その前後にあらゆる業界にテックによる「パラダイムシフト」が起こる、ということが非常に高い蓋然となっています。これがますます現実味を帯びてきました。

 

 

 そしておとといの5月22日になりますが、ツイッターでNVIDIAがトレンドに上がり「謎の半導体メーカー」などといわれています。日本では確かに一般的には聞きなれない、そしてどう読むのかわからない企業です。

 

 

 このNVIDIAはGPUを作っていた企業ですが、実は超巨大安定企業インテルを今脅かしています。それは杞憂でも何でもなく、すぐそこに迫っています。というのはGPUこそがディープラーニングを推進し、現在のAI革命の可能性自体を創出しているからです。

 

 

 このNVIDIAに関しては、引き続き記事を掲載していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株価急騰したトヨタとAI大手NVIDIA提携の衝撃—

 

 

 

 

—AI自動運転で大幅リード

 

 

 

 

 

 

 

BUSINESS INSIDER

2017/05/15

https://www.businessinsider.jp/post-33592

 

 

 

 

 

 

GTC2017でトヨタとの提携が発表された瞬間。取材中、会場から投稿したツイートは瞬く間に数万インプレッションになった(画像の右上の数字)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いまアメリカの半導体メーカーNVIDIAがノリに乗っている。トヨタ自動車(以下トヨタ)に、同社がAI自動運転のプラットフォーム(※)を提供することを公表したからだ。この発表はNVIDIAのプライベートイベント「GPU Technology Conference 2017」(GTC2017)の基調講演の中で、同社の共同創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏によって明らかにされた。発表を受け、株価は~11日にかけて22%上昇し、市場からはその契約が大きく評価されている状況だ。( ※AIコンピューターが運転する自動運転のシステムのこと)

 

 

 NVIDIAがトヨタにAI自動運転プラットフォームを供給することは、自動車業界に、そして開発競争が激化する自動運転向け半導体市場にどのような影響を及ぼすのかを考えてみたい。

 

 

 

 

テスラ、アウディ、ダイムラー、ボルボに続き「トヨタ」

 

 

 

 

 

今やAI用半導体の先頭を走る存在になったNVIDIAの共同創業者 兼 CEO ジェンスン・フアン氏。

 

 

 

 

 NVIDIA 共同創業者兼CEジェンスン・フアン氏のGTC2017基調講演は、前半は新しいアーキテクチャのGPUの発表など例年通りの内容に終始していた。ところが、講演が終盤にさしかかろうとしている時に、フアン氏は会場に詰めかけた聴衆の誰もが驚き、そして興奮する発表を行った。それが、冒頭に書いたトヨタにAI自動運転プラットフォームを提供するという発表だ。NVIDIAがトヨタに提供するのは、具体的には同社が「DRIVE PX」と呼んでいる、自動運転向けの車載コンピューター(半導体)と、それを利用してAIを実現するソフトウェアになる。

 

 

 NVIDIAがトヨタに提供する半導体は、同社がXavier(エグゼビア)の開発コードネームで開発してきた次世代製品で、従来はつの半導体で実現してきたAIコンピューターの機能を、わずかつの半導体で実現するという強力な処理性能を特徴としている。自動車メーカーがNVIDIAのAI自動運転プラットフォームの採用を決めたのは、米テスラ、独アウディ、独ダイムラー、スウェーデンのボルボに次いで社目となる。

 

 

 

 

 

NVIDIAが自動車メーカーに提供しているDRIVE PX2(第2世代のDRIVE PX)。次世代(第3世代)のXavier世代の製品では、左側の複数の半導体を搭載しているボードが、右側のチップと同じ大きさになる。

 

 

 

 

 

 この発表は、自動車業界に驚きと衝撃をもたらした。理由は2つある。つはトヨタがAIを利用した自動運転に本格的に取り組んでいることが改めて確認されたことであり、もうつはその開発パートナーが(インテルでもQualcommでもなく)NVIDIAであったことだ。

 

 

 もちろん、トヨタも将来的にAIに対応した自動運転に取り組むことは否定していなかったし、どこかのタイミングでAI自動運転に対応した自動車を投入することに疑いを持っていた関係者はいなかっただろう。

 

 

 

日本の巻き返しとなるか

 

 

 実際、トヨタはAIの開発に向けて着々と手を打ってきた。例えば、2016月には、米国にTRI(Toyota Research Institute)というAI研究の子会社を設立し、AI研究の第一人者の一人として知られるギル・プラット氏を招聘するなどして話題を呼んだ。また、国内でもやはりAIの基礎技術を持つ日本の先端ベンチャーとして知られるプリファードネットワークス社(PFNとも呼ばれる)に10億円の出資を行って話題を呼んだ。このように、研究開発や投資に関しては着々と手を打ってきたトヨタだったが、AIを活用する可能性については言及してきたものの、自社の自動運転にAIを使うと明言したことは、筆者の知る限り一度もなかった。

 

 

 それがNVIDIAと組むことを決めたということは、トヨタがAI自動運転の開発競争において、先行しているドイツ勢やテスラなどの"IT由来のメーカー"に追いつき、互角に戦っていける武器を手にしたことを意味する。というのも、現時点で最先端のAI自動運転プラットフォームを持っているのがNVIDIAだと考えられているからだ。世界の三大メーカーの1つであり、日本最大の自動車メーカーであるトヨタがNVIDIAのソリューションを採用することを決めたことで、AI自動運転の開発では遅れを取っているとみられていた日本のメーカーも、一気に追いつく可能性がある。自動車業界の地図を大きく書き換える可能性があるだけにその影響は小さくない。

 

 

 

AI自動運転テスト車「BB8」のすごさ

 

 

 NVIDIAも自社のAI自動運転プラットフォームが他社より進んでいると自負している。月にラスベガスで開催されたCESで記者からの質問を受けたNVIDIAのフアンCEOは「NVIDIAのAI自動運転は他社に比べて数年先行している」と述べ、他社がキャッチアップするまで数年はNVIDIAのリードが続くという自信を示している。

 

 

 フアン氏がそうした自信を示すのは、別に彼が自信過剰だからだからではない。NVIDIAはそうした自信を持つに値する実績を残してきたのだ。そもそも、現在のAIブームを牽引しているのは、NVIDIAが同社のGPUでディープラーニング(深層学習)と呼ばれる最新の学習手法を使えるようにしたことにあることは、以前の記事(クラウドから「エッジ」へ——NVIDIA軸に始まった半導体業界のAI戦争)でも解説した通りだ。NVIDIAは数年前から、同社のGPUを利用してディープラーニングを高速に処理できる仕組みを提供しており、これが全世界的なディープラーニングブームの契機になった

 

 

 

 

NVIDIAがGTC 2017で展示したAI自動運転システムの開発・テスト車。初代BB8の進化版にあたる。

 

 

 

 

 NVIDIAはクラウド側でそうしたAIを実現する仕組みを提供してきたが、今年提供する予定の、エッジ側(※)の車載コンピューターであるDrivePXの次世代製品(搭載する半導体のコードネーム=Xavier)では、1チップでエッジ側でのAI利用を実現する。それをトヨタや他の自動車メーカーに提供することで、一挙にAIによる自動運転を現実にする、これがNVIDIAの戦略と言える。(※サーバー側に対する、端末側の機器のこと)

 

 

 実際、NVIDIAの自動運転の試作車であるBB8(映画「スター・ウォーズ」EP7に登場するマスコットロボットと同じ名前の自動運転車)は、カメラだけを利用してAIが状況を判断しながら進んでいく仕様になっており、多くの自動車メーカーの関係者を驚かせた。

 

 

 なぜなら、それまでの自動車メーカーが試作していた自動運転車は、レーダーやLiDAR(レーザー光を使う周辺環境センサー)のような高価なセンサーを多数搭載してそれらのデータを解析しながら進むという仕様で、高コストかつ複雑だったからだ。それに対して、NVIDIAのAI自動運転プラットフォームでは、カメラとNVIDIAのAIコンピューターだけとシンプルに実現でき、コストも圧倒的に安価にできる。

 

 

 

自動運転戦争序盤戦はNVIDIAが圧勝

 

 

 既に述べた通り、NVIDIAはこれまでにドイツのアウディ、メルセデス、ボルボとの契約を勝ち取っていたが、それに加えて今回のトヨタだ。アウディとの契約は、ほぼイコール(母体である)VWグループとの契約のテストベッドだと考えれば、NVIDIAは世界の大メーカーの両方を押さえることになったと言えるわけで、その意味は決して小さくない。

 

 

 競合他社となるインテルはBMWとの契約を発表しているが、そのほかの自動車メーカーとの契約に関して明らかにできていない。また、世界最大の車載半導体メーカーNXP社を買収したQualcommに関しては、車載インフォテイメント(In-Vehicle Infotainment=日本で言うところのカーナビシステム。IVIとも呼ぶ)では既にVWグループなどでの採用は決まっているが、AI自動運転に関しては今後の課題となっている。今回、NVIDIAがトヨタとの契約を明らかに出来たことで、NVIDIAは自動運転の市場で明確なリードを築いたと業界に印象づけることに成功した。

 

 

 NVIDIAがトヨタとの契約を勝ち取ったことは、市場からも大きく評価されている。会計年度の2018年第1四半期(FY18/Q1)の決算を発表した日(現地時間)の終値は102.94ドルだったNVIDIAの株価は、トヨタとの契約を発表した10日(現地時間)の終値の段階で121.29ドル、翌11日(現地時間)の終値の段階で126.5ドルまで上昇している。日間で実に22%もの株価上昇だ。トヨタとの提携だけが要因ではないとはいえ、明らかに市場からは高評価されている。

 

 

 自動運転をめぐる半導体戦争。その序盤は、NVIDIAの圧勝と言っていい状況になった。もちろん、NVIDIAにとっても、トヨタとの提携は今後他の自動車メーカーとの取引を有利に進めていくにあたり、大きな意味があるのは言うまでも無いだろう。

 

 

 

 

 

 

クラウドから「エッジ」へ——NVIDIA軸に始まった半導体業界のAI戦争

 

 

 

 

 

 

BUSINESS INSIDER

2017/04/26

https://www.businessinsider.jp/post-33154

 

 

 

 

 AIや人工知能といった言葉を聞かない日はないというぐらい、AI・人工知能は社会的に大きな注目を集めている。過去2度の盛り上がりに比べ、「今回こそ本物」と言われている背景には、コンピュータの計算手法であるディープラーニング(深層学習)にある

 

 

 

 

 

 

 

NVIDIAが2016年4月に開いたGTC(GPU Technology Conference)で展示した「DGX-1」。同社の急成長の原動力になっている

 

 

 

 

 

 ディープラーニングでは、人間の脳の仕組みであるニューロンを模したようなDNN(ディープニューラルネットワーク)と呼ばれるモデルに大量のデータを読み込ませて学習させることで、文字通りコンピューター自身が自ら学び、人工知能を作り上げていく。プログラマーがプログラムを作り上げていくという従来型のAIと比較すると、DNNが学習する形の今のAIは、ある機能に特化すれば人間に近い知能を実現することが現実に可能になりつつある

 

 

 その代表例は、ユーザーのスマートフォンを利用してアクセスできる音声認識や言語翻訳の機能だ。Google翻訳が2016年秋のアップデートで非常に自然な翻訳が可能になったのは、ディープラーニング技術の適用によるものだ。このほかにも、AppleのSiri、Google音声検索(編集部注記: これはグーグルホームのことを表していますが、実際に衝撃的なのはアマゾンのAlexaという音声認識AIを搭載したアマゾンエコーです)、MicrosoftのCortanaなどの音声認識機能が急速に便利になっている背景には、ディープラーニングを利用したAIの普及がある

 

 

 

1400万円でも爆発的に売れたNVIDIA製品

 

 

 ディープラーニングの手法を活用したAIの実現にあたり、重要なのはクラウドやデータセンターにあるサーバーの処理能力を引き上げることだ。ディープラーニングを利用するには、DNNに巨大なデータ(いわゆるビッグデータ)を読み込ませて学習させる必要があるのだが、その学習には膨大な時間がかかる。ある演算に数日から数週間かかるという事例が山ほどある。その学習時間を短くするために、少しでも高速な半導体を供給してほしい——これがAIを開発するソフトウェアベンダーや開発者側からの切実なニーズだ。

 

 

 ディープラーニング向けの半導体市場で先行してきたのは、GPUメーカーのNVIDIA(エヌビディア)だ。NVIDIAの販売しているTeslaブランドのGPUは、膨大な量の並列演算が得意という特徴を生かして、従来使われていたCPUに比べて一桁違う性能を発揮する。AIを開発するソフトウェアベンダーは、競ってGPUを搭載したサーバーを購入している。 昨年NVIDIAが発売した「DGX-1」というGPUサーバーは約1400万円というサーバーとしては破格の高価格であるのに、飛ぶように売れているという。その人気を反映して、一昨年の段階では30ドル程度に過ぎなかったNVIDIAの株価は、17月現在100ドル前後で推移しており、この数年で一挙に世界から注目される企業になった。

 

 

 他のメーカーもこの動きに追随を始めている。世界最大の半導体メーカー、インテルは今年リリース予定のGPU対抗次世代製品でディープラーニングへの最適化を進めることを発表しているほか、ディープラーニングの学習だけに目的を絞ったアクセラレータを今年中に発売すると発表している。

 

 

 

AIを強化するインテルも、16年11月にサンフランシスコでAIのイベントを開催している

 

 

 

 

 今後、ディープラーニングを利用したAIのアプリケーションは、スマートフォンのような一般消費者向けだけでなく、自動運転、ロボットなど様々な用途に広がっていくと考えられている。需要は増える一方で、今後も半導体メーカーはラインナップを拡充していく。

 

 

 最も注目される分野であるクラウドやデータセンターにおけるAI向けの半導体だが、その裏では対局にある、いわゆる〝エッジ〟側のAI化も進展しつつある。エッジとは英語で先端という意味だが、クラウドの反対側にあるという意味で使われており、PC/スマートフォン/タブレット、ロボット、自動車といった〝クラウドに接続して利用する端末側〟のことを意味している。

 

 

 

自動運転に欠かせない〝エッジ〟で処理するAI

 

 

 現在のAIの構造では、クラウド側にAIエンジンが置かれ、データをエッジ側からアップロードして処理する仕組みになっている。Siriのような音声認識がその端的な例だ。エッジ側になるスマートフォンで音声をキャプチャし、そのデータをクラウドにアップロードして、クラウド側でAIを利用して音声を認識し、結果をスマートフォンに返すという仕組みになっている。Siriなどのスマートフォンの音声認識で、やや待たされることがあるのはこのためだ。

 

 

 音声認識では単にユーザーが待てばいいが、これが自動運転だったらどうだろうか。前方に物体があったときに、AIの目となるカメラで撮影して、そのデータをクラウドにアップロードして処理→その応答を待つ……などとやっている間に車はその物体と衝突してしまう。それが人間や大きな物体だったら命にかかわる事故になってしまう。 また、クラウド型のAIでは、データ転送量をいかに少なくするかも大きな課題だ。

 

 

 次世代の自動運転自動車やロボットなどでは、Gなどのセルラー回線を経由した通信が考えられている。例えば、自動運転車が収集する周辺環境センサーのデータの中には、複数の車載カメラが撮影している動画データも含まれる。それを生データのままクラウドにアップロードすれば、あっという間にネットワークが負荷に耐えられなくなる。 このため、エッジ側である程度の処理(特別なインシデントなどがあった箇所だけアップロードするなど)をした上で、必要な部分だけをクラウドへアップロードする、というような仕組みが必要になると考えられる。

 

 

 半導体メーカーは、エッジ側にもディープラーニングの手法を利用するAIの搭載が必要だと考えており、このトレンドに対応すべく製品を拡充している。

 

 

 

 

 

 

 

 クラウド/データセンター向けのディープラーニングソリューションで先行しているNVIDIAは、エッジ向けのAI用SoC(システム・オン・チップの略。CPUやGPU、モデムといった多機能をつにまとめた半導体チップのこと)として、Tegraシリーズを拡充している。現行製品はParker(パーカー)のコードネームで知られる製品で、クラウド/データセンター向けと同じ構造のGPUを半導体チップに内蔵しており、それを利用してエッジ向けとしては高いAI性能を実現していることが特徴だ。さらにNVIDIAはその次世代製品として大きく演算性能を引き上げたコードネーム:Xavier(エグゼビア)を計画しており、AI自動運転車をチップで実現できるとアピールしている。

 

 

 もちろんNVIDIAの競合他社もソリューションを拡充している。スマートフォン向けSoCの王者であるQualcomm(クアルコム)は、今年の月に発表した同社の最新製品となる「Snapdragon 835」で、新たなヘテロジニアスコンピューティング(異なる種類のプロセッサーを組み合わせて統合的に処理すること)環境を導入すると明らかにしている。これは、Snapdragon 835に内蔵されているCPU/GPU/DSPと呼ばれる種類が異なるプロセッサをまとめて利用することで、エッジ側でも高いAI性能を実現する仕組み。Qualcommは、この仕組みを発展させていくことで自動運転やロボットのAIなどを実現していく計画だ。

 

 

 

 

 

Snapdragon 835を利用すると、CPUだけでなくDSPも利用してディープラーニングの機能を実装することができる

 

 

 

 自動車向けの半導体に強い日本のルネサスエレクトロニクスは、「R-Car V3M」を月に発表している。R-Car V3Mは、画像認識アクセラレータが搭載されており、ディープラーニングの推論という処理(たとえば画像認識の場合、学習済みAIを使って、被写体が何なのかを判別させること)を、わずか1ワットという低い消費電力で実現できる。 各社ともさまざまな形でエッジ側でもAIを実現するソリューションを用意しつつあり、近未来にAIを利用した自動運転やロボットなどが本格的に実現できる環境が整い始めた。

 

 

 既に自動運転やロボットを実現できない技術的な制約はなくなりつつある。あとは法整備といった人間側の準備を待つ段階なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 編集部後記です。

 

 

 おとといの5月22日にツイッターのトレンドにNVIDIAが上がっていました。謎の半導体メーカーという見出しが躍っています。日本ではまだまだ全く知られていない企業です。

 

 

 しかしNVIDIAは先に言っています。この記事の後半の「エッジ」がこれからのディープラーニング社会のキーワードになるでしょう。クラウドと叫ばれてもう10年近くになりますが、これからはそのデータセンターの反対にある端末である「エッジ」です。

 

 

 具体的には自動運転車の最終的な技術だと思います。車からの画像認識データをいちいちクラウドに送っていたのでは、手間がかかり、事故のもとになります。クラウドに大量のデータが送られることも、サーバーダウンを起こし、交通の大混乱を引き起こします。

 

 

 そこでエッジ側である程度情報を処理し、一部の情報だけをクラウドに送るという自動運転車側で情報を処理する必要が出てきたという部分が注目です。そのためにGPUやCPUなどを一つに集めて、低電力消費でタスクを処理できる新しいチップが期待されます。それがNVIDIAのXavier(エグザヴィア、ザヴィエル)です。

 

 

 これは自動運転車だけの問題ではありません。社内LANとかクラウドがいくらしっかりしていても、PCや端末が悪ければ全く話になりません。私たちのほんの身近にある話で、大事故や信頼を失うことにもなりかねません。NVIDIAですら何度も廃業しかけたと創業者は言います。

 

 

 自動運転車はこの技術にすべてがかかっていると記事は示唆しています。今後のIT技術の動向の大きな部分はやはり自動運転車であり、トヨタはここに大きな飛躍をもたらすかもしれません。ここからのアナロジーで私たちは、別業種の仕事であっても自動運転車の各企業の取り組みを注視している必要があります。