2017年4月29日

 

 

 

 

 

 

経済産業省のビッグデータ規制の動き

 

 

 

 

 

 

IT企業の規制当局である経産省が企業への前向きな指針作りに乗り出す

 

 

 

 

 

 おはようございます。

 

 

 ひと月前のずいぶん遅い記事ですが、5月に発表のある政府指針の記事です。前回は総務省という通信に関する規制当局の研究会とそれへの批判の動きを掲載しました。今回は、やはり経産省。メーカーにやさしいというか、伝統的にともに前に進んできた省です。企業特に小規模企業やスタートアップが困らないように、ビッグデータに関する「よい規制」をする印象を受ける記事です。

 

 

 基本的には「するな」ではなく「しましょう」というトーンです。企業がビッグデータを自由に共有できる環境づくりです。大企業によるビッグデータの独占が起こると、全くその意味はありません。もしそうなれば、完全なるカルテル、コングロマリットが出来上がってしまう。経産省はそれを当然危惧するわけです。

 

 

 このページでずっと言い続けているものですが、フィンテックから始まった新たな情報革命は、P2Pや協働消費という新たな経済活動に失するものでなければ、ただの20世紀型独占が進むだけです。経産省のありうべき素朴な「規制」は、企業、特にスタートアップや小規模企業のビジネスにやさしいものであって当然なものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビッグデータの企業共有後押し 紛争防止へ政府指針 

 

 

 

 

2017/4/3 1:34

日本経済新聞 電子版

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14820200T00C17A4MM8000/?n_cid=NMAIL001

 

 

 

 

 自動車の走行や工場設備の稼働状況を示すビッグデータを企業が共有しやすくなる仕組みづくりが動き出す。経済産業省が指針をまとめ、一部の企業がデータを独り占めしたり、利益を囲い込んだりすることがないように契約するよう促す。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代を見据え、日本企業の強みである擦り合わせを発揮しやすい情報基盤を整える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 産業構造審議会(経産相の諮問機関)の部会で議論し、5月に指針を公表する。今夏にまとめる成長戦略に反映させる方針だ。ビッグデータ利用の権限を巡り企業間で争いが起きた際の仲裁制度を新設する案も浮上している。

 

 

 走行する自動車や工場などからは多くのデータが得られているが、現在はメーカーが独占的に保有するケースが多いメーカーの知見だけではデータを生かした技術開発に限界があるため、経産省は多くの企業がかかわる情報インフラを整える必要があるとみている。

 

 

 指針では機器の納入や事業提携の契約を結ぶ際に、個別のデータの利用権がどの企業にあるのかを明確にするよう求める。企業機密のほかは原則として共有できるようにして、データ活用に慎重になっていた部品メーカーなどが分析して次の開発につなげられるようにする。データの活用から得られる利益をどう配分するのかも企業間で事前に決めるよう求める。

 

 

 ビッグデータの重要性が増している分野として、まず自動車、工作機械、ビルメンテナンスについて具体的な契約の決め方を例示する。例えば、センサー付きのタイヤを装着した車がどういう状況でスリップしたかといった情報がタイヤメーカーも共有できれば、安全なタイヤの開発に生かせるようになる。

 

 

 自動車分野では自動運転技術の開発やカーシェアリングなどの新しい利用形態の導入が進んでおり、今後、車載システムメーカーやレンタカー会社などとデータを共有するひな型になる。

 

 

 IoTを工場で活用する動きも広がっており、ファナックNTTや米シスコシステムズなどと協力し、工作機械やロボットをネットでつないで生産効率を改善するシステムを開発している。DMG森精機はネットにつながった工作機械のセキュリティー強化で日本マイクロソフトとの協業を決めた。

 

 

 工作機械メーカーが契約に則して機器の稼働情報のビッグデータを集められるようになれば、故障の兆候を見つけて未然に部品を交換するサービスや、設備の稼働率が高まるように助言するサービスを拡充できる。

 

 

 製品の受発注状況や製造予定数量などのデータまで共有するとカルテルにつながる恐れもあり、指針では除外するように求める。契約交渉時に、取引上の強い立場を使ってデータを独占できるようにすることは、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の恐れがあるとの考え方も示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 編集部からのコメントです。

 

 経産省の動きは以前のロボレジでも「やりましょう」というプログレッしヴなものでした。当社ノートウェアが注視して行かなければならないのは、ほかに、厚労省、総務省、官邸の発表や動きです。厚労省に関しては、医療業界と行政という巨大な壁がありますが、日本の場合、人を扱うことに臆病なほどに慎重なため、医療での新しい動きは最も遅いと思います。しかし「ヘルステック」は早ければよいというものではないため、それはそれで大きな利のあるものです。企業としても、既存のサービスを維持したまま、あたらしい取り組みを慎重に時間をかけて進めていけます

 

 

 やはり一番企業にとって困ってしまうのは、前回AIのガイドラインを策定する研究会の記事であったような、専門知識の欠如や誤解による本質的な「規制」に走るのではないかという危惧があります。有力スタートアップが抗議の意を込めて研究会を辞退したのは、それを物語っていました。

 

 

 そして、当社のような医療系とは直接関係ありませんが、自動運転車開発の動向には国交省と警察庁の規制の動きがあります。次回は自動運転車開発にかかわる警察庁の動向を見てみたいと思います。