2017年7月16日

 

 

 

 

 

 

 

孫正義氏によるCPU覇権

 

 

 

 

 

 

 

第4のパラダイムシフトIoT、インターネット・オブ・シングスにかけるソフトバンクとARM

 

 

 

 

 

 

 おはようございます。

 

 

 今回は前回の記事の続きで、孫正義さんの講演です。後半はスマホに使われているCPU企業で、孫さんが3兆円をキャッシュで買収したARMについてと、この買収の意義です。インターネント・オブ・シングスは第4のパラダイムシフトだということを、孫正義氏は2004年にモバイルインターネット(形態スマホ全盛のネットとアプリ産業)の到来を予見していたと同じように見ています。

 

 

 そのことをはっきりと確信している日本人は、ほとんどいません。IT系企業にも限りなく少ない状態です。そもそもIoTが何かがわかっておらず、IoT製品が家電量販店に並んでいないのですから仕方のないことでもあるかもしれません。

 

 

 家電量販店に行くことがあったら、「アマゾン・エコーはどこですか」と店員さんにぜひ聞いてみてください。ほぼ鈍い回答が来るでしょう。2017ねん7月現在、日本で発売されているIoT製品はネスレのバリスタiだけで、バリスタiがIoT製品であることも、なぜコーヒーメーカーがIoTであるのかも知らないのですから。

 

 

 そうした現状での孫正義氏のキャッシュでポンとARMを買収したことは(そして自動運転車に欠かせないインテルを脅かしているNVIDIAも)、本質的な先見の明があるといわざるを得ないものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孫正義氏「たかが3兆円」ARM買収の先に見る、IoT時代の野望

 

 

 

 

 

Logmi

2016/07/18

http://logmi.jp/153085

 

 

 

 

 

 

ARMのビジネスモデル

 

 

 じゃあARMというのはどういう会社なのか。すでにご存知の人もいると思いますが、知らない人もたくさんいると思いますので、少し触れたいと思います。ARMは、現在148億個、去年年間で約150億個のチップが、ARMの設計によるARMベースのチップが世界中のあらゆるチップメーカーから出荷されているということであります。

 

 

 ARMは自らチップを製造はしていません。Intelは設計と製造両方行っています。ARMのビジネスモデルは、両方自分自身でやるのではなくて、設計に特化して、チップのメーカーにその設計図を渡している。

 

 

 彼らはその設計図を得て、そこにシステム・オン・チップということで、メモリを追加したり、モデムの部分を追加したり、あるいはグラフィックスをエンハンスしてそこに、システム・オン・チップと。この拡大写真を見ると、まるで20年前、30年前のパソコンのマザーボード、これが目の前にあるような感じであります。つまり、当時のマザーボードが今はワンチップに縮小されて入るようになった

 

 

 これをARMはさまざまなチップメーカーに提供し、このARMベースのチップが150億個、去年年間で出荷された。しかもこれが二次曲線で伸びている。Intenet of Thingsになると、将来これのさらに何十倍、何百倍になると思っています。

 

 

 

ARMはスマホの完全なる成功者

 

 

売上高。まだ去年で2,000億円弱です。でもこれも二次曲線で今伸び始めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらに、純利益、税引後の利益で600億円弱。でもこれも、二次曲線で急激に最近伸び始めたと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 でもこれは私に言わせれば、これからARMが爆発的に伸びる入り口だと私は思っています。ARMはさまざまなスマートフォンに入っておりますけれども、全世界で今現在出荷されているスマートフォンの約97パーセントぐらいがARMだと言われております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういう意味では、スマートフォンの完全なる成功者は実はARMであるということも言えるかもしれません。スマートフォンの出荷は、ある程度数は成熟し始めたんじゃないかと言う人もいますが、ARMの成長余力というのは、台のスマートフォンのなかに、複数のARMベースのチップが入っている。しかもその一番重要なアプリケーションプロセッサのなかに、ワンコアではなくマルチコアになっている。

 

 

 ARMが最初はシングルコアで、CPUに個ARMのコア入っていたのが、最近はコアとかコアとかいうふうに個のなかにたくさん入り始めてる。さらに、グラフィクスだとか、そのほかいろんなエンハンスされたARMのチップがどんどん複数増えてきているということであります。

 

 

 

セキュリティ面におけるテクノロジー技術

 

 

 さらに自動車のなかには、これからARMベースのチップがたくさん入っていくということになって、自動車が自動運転とか、そういうふうにこれからなっていくと思いますけれども。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうすると、ますます自動車は「走るスーパーコンピューター」と言われるようになるでしょうし。あるいは「走るロボット」とも言えるかもしれません。そういうことになれば、ますますARMの潜在市場価値は大きくなっていくと。さらに、家庭のなかオフィスのなか、ありとあらゆるものがインターネットにつながるという時代が来ると思いますが。そうすると大事なのはセキュリティであります。

 

 

 もし、ハッカーがInternet of Thingのなかからハッキングしていこう、というふうになると、例えば先ほどの自動運転の自動車が、ある日ハッカーにハッキングされてウイルスばらまかれた場合に、ある日突然、世界中の自動車が同じ日の同じ時間に世界中で同時に自動車のブレーキが利かなくなるということが、悪い人のハッカーの手によれば、そんなことすら可能になりうるわけですね。

 

 

 もしそうなった場合には、今、世界中で頻繁に起こり始めているテロ、これが人身テロではなくて、自分の自爆テロではなくて、単にハッキングをするだけで世界中をパニックに陥れるということすら起きかねないということですね。空を飛ぶ飛行機が落ちる。同時に飛んでる飛行機が世界で同時に落ちると。あるいは、同時に動いている自動車が同時にブレーキが全部止まるということになると、どれほど危険な時代がやってくるか。そうすると、セキュリティというのは最も重要な機能になりますけれども。

 

 

 ARMはそこにTrustZoneというテクノロジーを持ってます。これがありとあらゆるInternet of Thingsに入っていくということで、ますますARMの役割は重要になると。またARMは最近ロイヤリティ収入が次曲線で伸びてきておりますけれども。それはARMのテクノロジーの高度化、マルチコア化、また設計の領域が広がっているということで起きております。

 

 

 

(中略)

 

 

 

 

ARMが結ぶパートナーシップ

 

 

 ARMは、ビジネスモデルとして、先ほど言いましたように、自らチップを製造しているわけではない。

 

 

 したがって、さまざまなチップのメーカーにARMの設計図をライセンスして、彼らがシステム・オン・チップを最終的に設計し、そしてファウンドリに、TSMCのようなチップの製造メーカーに、あるいは自ら製造している会社に提供しているということです。ですから彼らチップメーカーと競合しているのではなくて、チップメーカーとパートナーであると。さまざまなチップメーカーにARMはその設計図を提供するというポジションにある。そこはIntelと違うところですね。Intelは自ら設計製造、全部自前でやるわけですけれども、垂直統合ではなくて分離することによって、多くのパートナーを味方につけているということであります。ARMはパートナー戦略によるビジネスモデル。そこもソフトバンクと非常に近しいところであります。デザインサポートパートナーだとかソフトウェアのパートナー、いろんなパートナーを1000数百社持っているということであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソフトバンクとARMはIoT時代を牽引する

 

 

 ということで今回の投資は、共通のビジョン、ARMと我々ソフトバンクは同じビジョンを持っていると。中立性を維持し、グローバルで連携し、イノベーションへの投資、ということであります。

 

 

 ひと言まとめて言いますと、ソフトバンクとARMは、次にやってくるもっとも大きなパラダイムシフト、Internet of Thingsに共に力を合わせて挑戦するということであります。

 

 

 ARMは、モバイルのすでに業界標準ですけれども、モバイルを超える大きな成長ポテンシャル、なかでもIoTは、これからやってくる一番大きなパラダイムシフト。このことが共有できたので、ARMの経営陣、そしてARMの取締役会と我々は、全会一致でこのことをARMの現在の株主に共同で提案するというかたちになったわけです。ということで、私の大変なる興奮を今話しまくりましたけれども、ぜひ多くのみなさんにご理解されることを心から願っております。ありがとうございました。