2017年7月5日

 

 

 

 

 

 

完全自動運転車企業ウェイモ PartⅡ

 

 

 

 

 

測量用光学センサーの自社開発とウーバーへの非難

 

 

 

 

 

 

 おはようございます。

 

 

 前回に引き続き、今回もレベル4(完全自動運転車)開発企業「ウェイモ」です。

 

 

 ハンドルもブレーキもアクセルも何もない、クルマを制御するものが全くない自動運転車のことをレベル4といって、これが本当の「自動運転車」を意味します。「自立運転車」(オートノマス・ヴィークル)とも言います。この役後はまだ決まっていません。(というのも、自動運転車自体日本では、一般的には全く知られていません。存在していないに等しい状況だからです。)

 

 

 ハンドルやブレーキくらいついていないと危ないではないか。いったいどうするつもりだ、そんなものは絶対無理だし、まず乗りたくない。というのが今の日本人であり、世界的にもそうです。

 

 では一体どのようにして制御するのでしょうか。やはりセンサーという言葉が浮かびます。しかし、センサーというのは日本人には世界に先駆けてなじみ深いもので、すでに70年代から自動ドアに使われ、90年代からはトイレをはじめとするさまざまな生活に密着する場面で使われてきました。

 

 

 何をいまさらという感じです。そしてそうしたセンサーは赤外線だという観念があります。しかし、人類の歴史でこれまでにないほどに細心の注意を払わなければならない自動運転車に、赤外線では足りません。

 

 

 以前に記事中でもありましたが、ライダー(LiDAR)という、地質を調べるための地中用測量用に開発された光学レーダーがあります。ウェイモはグーグル時代、それを購入して実験を繰り返していたそうです。しかし、それはもともと測量用であり、何よりも800万くらいします。それなら800万円の車を買いますよね。

 

 

 そこでグーグル(=ウェイモ)は自社でライダーを開発して、コストを10分の1に抑えました。車の重要部分を支える一部が80万なら、そのままでもやっていけます。以後大量生産が進むに任せてコストも下がります。この自社開発のライダーをめぐって、現在ITビジネス最先端の登場人物のもう一人で鬼っ子でもあるウーバーと争っています(明らかにウーバーが悪いですが)。

 

 

 さらに先日お伝えしたソニーのセンサーカメラ開発にもあるように、当然カメラと何よりAIの画像認証技術があります。これらと組み合わせた仕組みが考えられています。

 

 

 以前も以下の記事で、昨年末から活発になってきた(ウェイモの独立がその契機)自動運転車の動向をお伝えしてきました。

 

 

グーグルが完全自動運転自動車の開発を断念の記事

http://noteware.com/Googl_car.html

そもそも自動運転車って何?

http://noteware.com/autocar.html

グーグルの自動運転自動車会社Waymoとホンダの共同研究

http://noteware.com/Waymo.html

英紙「フィナンシャル・タイムズ」―自動運転車と都市インフラ改革に関する記事

http://noteware.com/FT1.html

 

 

 上記にも今年初めからの動向が詳しく述べられています。21世紀の今後100年の本格的院府変更の動きにまでつながっていることが詳述されていますので、硫黄の記事と合わせてお読みいただけると、幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自動運転専業ウェイモの武器は「LiDAR」、ウーバーと泥沼の係争も

 

 

 

 

 

 

日経テクノロジーオンライン

2017/05/29

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/041100089/052500021/?P=2

 

 

 

 

 

 自動運転を実現するためには、クルマの周囲360度にある物体の形状や距離を測定するセンサーが不可欠である。それが「LiDAR(ライダー)」と呼ばれる、レーザースキャナーだ。「完全自動運転を実現する本命」と言われることのあるグーグル系のウェイモ。その理由の一つは、低価格のLiDARを独自開発していることである。

 

 

 「LiDARを外部から調達すると5000ドル(約800万円)かかるところ、当社のLiDARは90%減の7500ドル(約80万円)に抑えられる」。自動運転車開発を手掛けるウェイモのジョン・クラフチックCEOはこう説明する。

 

 

 

 

ウェイモの自動運転技術を装備したFCAのハイブリッドミニバン「Chrysler Pacifica Hybrid」 。上部の円筒状デバイスがLiDARである

 

 

 

 LiDARの利用イメージはこうだ。クルマの上部にLiDARを設置することにより、ドライバーの死角にいるクルマや歩行者を検知できる。道路や周囲の建物の形状と次元地図データを比較し、地図上のクルマの詳細な位置を把握する。その精度はGPS(全地球測位システム)よりも高い。生命線となる次元地図データはクラウド経由でリアルタイムに更新できる仕組みだ。

 

 

 いかにLiDARが自動運転車の実現に大切な存在なのか。そのことを示す事件があった。ウェイモと、ライドシェア(相乗り)大手である米ウーバーテクノロジーズとの泥沼の係争である。

 

 

 ウェイモは2017月、「LiDARの機密情報を盗用した」としてウーバーを提訴。「ウーバーに移籍した元グーグル社員(2016月にグーグルを退社)が、LiDARの設計図を含む約4000点の資料をグーグル(ウェイモがグーグルから独立する以前)から不正に持ち出し、LiDARの開発に転用した」というのがウェイモの主張だ。

 

 

 米サンフランシスコ連邦地裁は2017月、ウェイモの主張をおおむね認定し、ウーバーに移ったグーグル元社員に対して、持ち出したLiDAR設計資料をウェイモに返却するよう命じる仮処分を下した。

 

 

 

完全自動運転に必要なシステム製品などを外販

 

 

 ウェイモがグーグルから独立したのが2016年。その直後からウェイモは、自動車大手との提携に熱心である。自社で開発した製品を、自動車メーカーのクルマに搭載してもらい、そこから様々な情報を入手することで機能・品質の改良を迅速に進めるためだ。その延長でウェイモは、完成度を高めた自社製品を自動車メーカーなどに外販していく考えだ。

 

 

 ウェイモが開発している製品とは一体何か。自動運転車に必須となるハード、ソフト、サービスを統合したシステム製品「自動運転プラットフォーム」と呼ぶものだ。具体的には、自動運転支援ソフトウエアやデジタル地図サービス、LiDARをはじめとするセンサーを組み合わせたものだ。特に低価格のLiDARや、「Google Maps」や「Google Street View」でノウハウを培っているデジタル地図サービスを強みする。

 

 

 ウェイモは設立直後の201612月、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と提携。自動運転のテスト走行用車両として、ハイブリッドミニバン「Chrysler Pacifica Hybrid」100台の提供を受けることを発表した。ウェイモの自動運転技術に最適化するため、ミニバンのシャーシやパワートレインなどに変更を加えたという。ウェイモのジョン・クラフチックCEOは、「人間がハンドル操作することなく、ドア・ツー・ドアで移動できる世界初の自動運転ミニバン」と自信を見せた。

 

 

 2017月時点で、FCAが提供した100台のChrysler Pacificaベースの自動運転車は、既に公道で走行テスト中という。 ウェイモは公道テストを強化するため、さらに同車両を500台追加する計画を明らかにしている。

 

 

 ウェイモはホンダとも手を組んでいる。同社は201612月、ホンダと自動運転技術領域の共同研究に向けた検討を開始したことを発表した。ホンダは、「これまでは、(緊急時は人間が運転する)レベルの自動運転に向けて独自開発を続けてきた。ウェイモとの共同研究によって、幅広い技術開発と、(人間が運転に関与しない)完全自動運転に向けた技術の成熟化を図りたい」(広報部)という。ウェイモは、LiDARなどのセンサーや自動運転支援ソフトウエアなどを搭載したホンダの車両を使って公道テストを進める。

 

 

 「完全自動運転車の実用化」という一つの目標に向かって突き進むウェイモ。完全自動運転車の専業として、完全自動運転車の公道テストで首位を走っている。低価格のLiDARを武器にする「クルマ×AI」業界で目が離せないIT企業であることに間違いはない。